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2012年4月26日木曜日

いいかげんき

NHKラジオ第一放送の「朝の随想」で毎週金曜日午前7:40から8:00まで
の間に約4分間、自分が書いた随想を朗読している。先週の放送は、
以下のサイトで聞くことができる。下は、その原稿である。
http://www.nhk.or.jp/niigata/program/b-det0003.html




いいかげんき


おはようございます。ハハハ 上越教育大学の田島です。ハハハ

現在の日本人のほとんどが、「いいかげん」という言葉をマイナスイメージでとらえているはずです。しかし、この言葉の語源をたどれば、「好い加減」と言う意味であり、ほどほどがよいことであるとされています。

「いいかげん」のアクセントを「いいかげん」とし、それに「き」を付け加えると、「いいかげんき」という言葉ができます。私はこの言葉を気に入っていますし、時々ゼミなどでも使っています。

日本人は真面目で良いと評価されていますが、真面目すぎるという悪評も存在しています。何年か前に、日本人に気質が似ているとされているドイツ人が、時間にルーズになってきたことが先進諸国の間で評価されているという事を本で知りました。

私は、仕事柄海外に出張することや留学生達と交流することが多いのですが、そこで感じるのは、日本人は真面目すぎるということです。

真面目すぎるということは、車のハンドルに遊びがないことに例えることができます。遊びの部分がないとちょっとした道路の変化もハンドルに直接伝わり、運転のストレスが増大します。同様に、真面目すぎる日本人は、何事も真面目に直接受け取ってしまうため多くのストレスを抱えることになるのです。

こうした問題に加えて、日本人にはさらなる問題があることが判明しています。様々な国の人々の脳の遺伝子を調査した研究で、日本人は他の国の人々に比べてストレスに弱いことが明らかになりました。それは、日本人が農耕民族としての長い歴史を有していることと関連していると考えられています。農耕社会では、定住化が一般的で小さな共同体を形成し、閉鎖的で親密な人間関係を維持していくことが重視されます。そのため、他者の目を常に意識し、共同体を最優先する感覚が重要となり、繊細さや従順さを備えた人間が生き残りやすくなりました。

その後、日本の社会は近代に入ってから大きく変化し、農耕社会的なコミュニティは崩壊しつつあります。現代の社会では、多くの見知らぬ人々と様々な活動を共にしなければなりませんし、時代の変化が激しいため様々な変化への適応が求められるようになってきています。これは繊細な日本人にとってストレスの増大を意味します。

このようなストレスが多い状況の中で、日本人の真面目すぎる性格は病気になる要因として働いていると思われます。だから、「いいかげん」が大切なのです。ちょっとした問題が起こってもあまり気にしすぎず、「まっいいか」と言って笑ってやり過ごす、そんなゆとりの精神や遊び心が大切な時代なのではないかとは私は思っています。

「いいかげんき」いい言葉だと思いませんか?ハハハ

さあ、今日も一日「いいかげんき」で楽しくすごしましょう。ハハハ

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